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サステナブルジュエリーを支える素材と生産背景|タイから広がる新しいものづくりのカタチ
ジュエリーの世界では、環境負荷の少ない素材や倫理的な生産体制を重視するサステナブルジュエリーが年々注目を集めています。気候変動や資源問題の意識が高まる中ジュエリーブランドもまた「どの素材を使い、どのように作られたか」というストーリーを重視するようになりました。今回は、サステナブルジュエリーを支える素材と生産背景、さらにタイやチェンマイで拡大するエシカルOEMの現場について深堀していこうと思います。
1、サステナブルジュエリーを支える主要素材
①リサイクルシルバー(Recycled Silver)
近年、最も普及している素材がリサイクルシルバーです。使用済アクセサリー、工業廃材、産業スクラップを再精錬し、純度の高いシルバーとして再利用します。
サステナブルな理由は以下の通りです。
・新たな鉱山採掘を抑制し環境負荷を軽減
・CO₂排出量が大幅に低下
・産地証明がしやすい(トレーサビリティが高い)
特にタイやチェンマイのカレンシルバー工房では、このリサイクル銀の使用が急増。伝統技法とサステナブル素材の融合が進んでいます。
②エシカルゴールド(Ethical Gold)
金採掘は森林破壊や水銀汚染など、環境負荷が高いことで知られています。その反面、以下のようなエシカルゴールドは世界的な評価を得ています。
・フェアトレード認証ゴールド
・公正な賃金を保証するコミュニティマインドゴールド
・リサイクルゴールド(PC・機器・既製品から再抽出)
特にラグジュアリーブランドが積極採用していることで、市場の透明性も高まっています。
③合成ダイヤ&ラボグロウン宝石
採掘ダイアの背景には紛争問題や環境破壊がつきものですが、ラボグロウンダイアモンドや合成サファイアなどは。クリーンで透明性の高い選択肢として急成長しています。
・環境負荷が低い
・安定品質でトレーサビリティ確保が容易
・価格が安定し、OEMでも採用しやすい
④天然素材(木・シェル・ガラス・土器)
アジアのクラフトジュエリーでは、天然素材もサステナブル視点で再評価されています。タイ北部では、竹や貝殻、シードビーズを使った工房も増え、軽量で環境負荷の低いラインとして人気です。
2、サステナブルば生産背景:何が変わってきているのか
①トレーサビリティと生産者情報の開示
昨今のサステナブルジュエリーでは、「この作品は誰が、どこで、どうやって作ったのか」を開示する動きが強まっています。タイやチェンマイのOEM工房でも、以下の取り組みが浸透しつつあります。
・職人名、工房の開示
・素材の仕入れ元(銀の再精錬所など)の開示
・生産工程の可視化(写真・動画)
②小ロット生産×クラフト技術の価値向上
大量生産ではなく「必要な分だけ作る」=スモールバッチ生産はサステナブルの重要な要素です。チェンマイのカレン族工房では、従来手打ち技法や銀線細工を活か小ロットでのOEM依頼に対応。これにより、在庫廃棄を抑えながら職人の雇用も安定させることでできます。
③コミュニティ支援型OEM
最近増えているのが、工房とブランドが協力して地域の持続可能性を支えるモデルです。
例えば、
・サンプル制作を現地で共同作業
・売上の一部を職人支援基金へ寄付
・若手職人育成の教育プログラムをサポート
・「生産」ではなく「共創」
これが今のサステナブルOEMの大きな流れです。
3、タイ×サステナブル素材の強み
タイとりわけチェンマイには、サステナブルジュエリーを支える強みが揃っています。伝統技法×リサイクル素材の相性が良い。小規模工房が多く、スモールロットOEMに強い職人文化が根付いており、制作工程の透明性を確保しやすい。カレンシルバーという独自素材の存在。特にカレンシルバーは”自然と調和した暮らし”をルーツに持つためサスティナブルの価値観と非常に相性が良い素材と言えます。
4、サスティナブル素材の未来:ブランドに求められる2つの視点
①「素材の透明性」を積極的に発信すること
ユーザーは、見た目より「背景」を重視する時代になりました。ブランド側がきちんと素材情報を発信することで、価値は何倍にも高まります。
②「地域・文化との共生」を重視すること
カレン族工房のように地域文化を協働する生産体制は、単なる”優しい素材”ではなく、文化継承を未来へつなぐサステナブルモデルとして注目されています。
まとめ|素材を選ぶことは未来を選ぶこと
サステナブルジュエリーは、単に”環境に優しい素材”で作るだけではありません。素材の選択→生産背景→コミュニティの未来。このプロセスが透明で、倫理的であること。それがサステナブルジュエリーの本質です。タイやチェンマイのクラフト工房は、この考え方に最も近い場所のひとつとして、世界のデザイナーブランドから信頼を集めています。今後はリサイクルシルバー×カレン族の技術×タイOEMという掛け合わせが、新しいスタンダードになるかもしれません。